ひだまり泥んこ日記*2巻

ヒロシマ安藝地方 矢野という地で里山を駆けまわり泥んこにまみれる保育園の園長戯れ言ブログ 1巻はYahoo!で継続中

人生で大事なモノは変わるのか?

ひだまりを始めるとき、数人の仲間と集った。

園の名前は投票で決めた。

場所は うちのばあちゃん家だということは決まっていた。

保育料は、前の園の会計を一手に引き受けていた友と相談して決めた。

そうやって一つずつ考えていった中で

頼りになる友人がいた。

何を頼っていたかを明記すると個人が特定されてしまうので

ちょっと書けないんだけど、

彼女がいてくれて、本当に開園から3年、本当に助かっていた。

 

彼女には 離れた地で暮らすお父さんとお母さんがおられた。

お母さんが亡くなって、お父さんの認知症が進んでいった。

一人で暮らし始めたお父さんを、そのままにはできない。

デイケアやその他の施設に預けるには 金がかかる。

そして 彼女は ネズミ講に手を出してしまった。

何やら補整下着とか、化粧品とかを

周囲の人たちに売り始めた。

 

元々地味で、自分を飾るお金を使うくらいなら

こどもたちに美味しいモノを食べさせてやろう、そんな人だったのに

あっという間に 水商売のお姉さんのような服装になっていった。

けばい化粧、ピンヒール。

ほんの1年前までは ベタ靴はいて割烹着きて

近所の子達に 肉じゃがを食べさせていたのに。

なんか悲しくなった。

いや、水商売の人がわるいんじゃない

仕事でそういうことするのは 立派だと思う。

私がイヤなのは、彼女がそういう服装で人を騙していることだった。

そんなこと絶対に許さない私には勧誘をかけず、

断るのが苦手な友ばかりを誘っていたことも腹が立った。

そんなに商品に自信があるなら うちにも売ってみろ!と思った。

 

当然、行き来がなくなっていった。

娘が高校に合格した朝には電話がかかってきた。

何事かと思ったけど、良かったなぁって本当に思った。

でも、彼女との会話はそれが最後となった。

 

PTAで出来たつながりも

近所も何もかも、全てのつながりを「騙す相手」とした彼女は

知人に多大な借金をしたまま

ある日いなくなった。

3人のこどもは、父さんと暮らしている。

その家を建てるとき、彼女がどんなに考えて悩んで

一つ一つの壁紙を選んだか知っているから

その家を出てまで 彼女がやりたかったことって何だろうと思う。

じいちゃんを安心して預けるために始めたんじゃなかったん?

家族の暮らしを壊さずに じいちゃんを守るためじゃなかったん?

 

お金って、ないと困る。

わが家もお金がなくて本当に困っている。

でもなぁ。

お金は大事なモノを見えなくしてしまうんだよなぁ。

きれい事を言うつもりはないけどさ、

人を騙して手に入れたお金は身を滅ぼすんだなぁって思う。

彼女にもらった書類たちを見る度

心の中に苦い味が広がる。