ひだまり泥んこ日記*2巻

ヒロシマ安藝地方 矢野という地で里山を駆けまわり泥んこにまみれる保育園の園長戯れ言ブログ 1巻はYahoo!で継続中

やりたいことを やりてえな*音楽教育の会広島サークルつうしん9月原稿

◇夏の終わりのうた◇ 

プールも終わりに近づいたある日、楽天的な歌を渡したくなった。何かないかなぁと楽譜をめくって「真田隊マーチ」に目がとまった。これいいけど、録音して例会持って行ったらみんなに「自分が好きだからって何でも渡しゃええんじゃないんよ」と叱られるなぁ…なんて思ったけど、えい、ままよ!この子達、絶対この歌が気に入る。そして、この脳天気みたいにみえるけど、その中に諦観も希望もしたたかさも併せ持つこのソングの魅力も丸ごと受け止めてくれると確信して渡しました。
 案の定、本当にこの歌が気に入って 約1ヶ月ことある毎に口ずさんでいます。「やりたいことをやりてぇな」「明日は明日の風が吹く」が気に入って、大笑いしながら歌っている。こういうところが、健康なこどもらだなぁって思う。

 


 インターネットでFacebookというのをやっている。ひだまりは広告活動なんかできないから、インターネットでお金をかけずに自分たちのことを広めようという思惑。そこで色んな知り合いとやりとりする。テレビや新聞では目に入らないニュースや出来事が流れてくる。その中に 教育勅語を朗唱し喜々として「日の丸行進曲」「愛国行進曲」「日本」を歌う幼稚園児の姿があった。呆然としてしまう。ここ広島でも教育勅語を教える民間の団体が大きくなっている。私はなにをやってるんだろう、この人達くらい本気で憲法の素晴らしさをこどもらに教えているだろうか。
呆然としてる場合じゃない。だから、まず、私は今までの保育で歌ってきた歌たちに、「こどものたたかい」の中からいくつか加えることにした。
 でも、思想先行で、こどもの実態をおいてけぼりにしては本末転倒だから、よくよく考えて「いいこ」から渡すことにした。だって真田隊マーチが好きになる子達だから。さて、これからどんな風になっていくかなぁ。

 「明るい月は輝く」が大好きになり「大きな石」や「そんごくう」や「アイヌ漁獲の歌」オキクルミから「アメマスとのたたかい」が大好きになっているこどもたち。
「いるか」「船乗り達の歌」も控えている。「みらい」も練習をはじめた。秋、いっぱい歌って、私もこどもたちと一緒に心の中身を太らせたい。

うんどう会の万国旗のこと
 花森安治の著作に「一銭五厘の旗」というのがある。一銭五厘とは、赤紙の切手代。私たち市井の人間は一銭五厘で命を捨てさせられてきたが、戦後同じ一銭五厘で政府に自分の意見を述べることが出来るようになった。暮らしの旗、一銭五厘の旗を高く掲げていこう!という熱いメッセージのつまった本だ。私はこれを母が取り置いていた暮らしの手帖の中に見つけ、大事にとってきた。今年の運動会の万国旗は、心意気で、こどもたちの自由な表現を大切にしたい。そう思って自画像を描いてもらった。

こんなに素敵に描くなんて失礼ながら思っていなかったから、絵の具の色を粗雑にしてしまった。後悔先に立たず。
 どんな時にも、最善のものを用意しておかないと…と、今更ながらに痛感した次第。




 たった28人の保育園だけど、毎日ドラマがあり、毎日泣いたり笑ったり忙しい。 ここしばらくは、 自分の至らなさに歯がみして日々を過ごしている。
 でも、とこの頃思えるようになってきた。でも、私には音楽がある。 人間を励ましつづける歌をたくさん知っている。ダメな自分をため息つきながら笑い飛ばして毎日を紡いでいる人間の歌。醜いものをつくりながらも、美しいものを作り続ける人間の歌。毎日ピアノに向かって新しい曲を練習する。「みらい」の伴奏を弾きながら、涙が出る。「大丈夫大丈夫」って音楽が励ましてくれる。だから、こんな私もがんばれる。「ほんまダンジョーはしょうがないねぇ」と6才に背中をたたかれながら毎日を紡いでいる。